
麻婆豆腐や火鍋、四川風の炒め物を本格的に作ろうしたとき、日本の鷹の爪だけでは再現しきれないと感じたことは無いでしょうか。
本格火鍋の作り方で紹介した火鍋を作る時も、さまざまな形の唐辛子が入っていていいなぁ、と思った人も多いでしょう。
中国では料理に合わせて複数の唐辛子を使い分けるのが一般的。
香りを出す品種、辛さを強める品種、色を出す品種など、それぞれ役割が異なります。
そしてその四川料理でよく使われるのが、二荊条唐辛子や朝天唐辛子。
この2つがあるだけで、料理の味も本場感もグッと増しますが、入手が難しいです。
なので育ててみるのをおすすめします。
いくつかの点を注意すれば育てるのは簡単です!
この記事では、中国唐辛子の基本的な特徴や歴史、代表的な調味料との関係を整理。
種類の違い、さらに二荊条唐辛子・朝天唐辛子の育て方についてもわかりやすく解説します。
本物の中国唐辛子とは?

中国唐辛子とは、中国料理の中で長く使われ、用途に応じて選ばれてきた品種や系統の唐辛子のことです。
ここでは、その中国唐辛子について簡単に解説します。
中国固有の品種の唐辛子のこと
中国でよく使われる唐辛子には、二荊条、朝天椒、満天星、灯笼椒、小米辣、子弹头などがあります。これらは地域や料理によって使い分けられており、四川料理では、複数を組み合わせることがおおいです。
たとえば二荊条は、比較的香りや色が重視される品種で、麻婆豆腐や豆板醤、火鍋といった唐辛子の香りや旨みを生かしたい時に使われます。
一方で朝天椒は、しっかりした辛さを出したい火鍋などによく使われます。
お守りや飾りにも使われる

中国では唐辛子は食材としてだけでなく、飾りや縁起物としても扱われている存在です。
中国では赤い色にはめでたいという意味合いがあり、乾燥唐辛子を束ねて飾る光景も中国では見られます。
中国唐辛子の歴史
唐辛子はもともと中国原産ではなく、南米原産の植物です。
中国に入ってきたのは17世紀の明代以降とされており、その後、中国各地に広がっていきました。
とくに四川や貴州、湖南などでは、唐辛子が食文化の中に深く入り込み、地域の料理を代表する存在です。
現在では「中国料理=辛い料理」という印象を持つ人も多いですが、これは唐辛子が長い時間をかけて中国各地の料理に定着した結果です。
中国唐辛子を使った調味料
中国では唐辛子そのものを料理に入れるだけでなく、加工して調味料として使う例が多く見られます。
ここでは中国料理でよく使われる調味料を紹介します。
泡椒(pào jiāo / パオジャオ)唐辛子の酢漬け

中国には、唐辛子を酢や塩水に漬け発酵させた調味料、泡椒(pào jiāo / パオジャオ)があります。
陳麻婆豆腐店の本店の麻婆豆腐でも使われている可能性があると、四川料理を紹介する中国のYoutuber、王剛さんも言及していました。
四川系の料理では、酸味と辛味をあわせ持つ風味づけとして使われることがあり、料理にキレを加えます。
品種としては、小米辣(xiǎo mǐ là / シャオミーラ)や朝天椒(cháo tiān jiāo / チョウテンジャオ)がよく使われます。
豆板醤

豆板醤は、中国唐辛子を語るうえで外せない発酵調味料です。
特に四川料理では使用頻度が高く、麻婆豆腐や回鍋肉など、多くの料理の土台になります。
どの唐辛子を使うかによって、豆板醤の風味の方向性にも違いが出ます。
よく使われている品種は、香りや旨味を出すための二荊条唐辛子、辛みの補助として朝天椒が使われることが多いです。
より詳しい豆板醤の解説を知りたい人は、「本物の豆板醤・郫县(ピーシェン)豆板醤とは?ユウキ食品や李錦記の豆板醤は偽物?おすすめも紹介」を参考にしてください。
代表的な中国唐辛子5種類と辛さの違い

中華街や中国のレシピでよく見かける中国の唐辛子を、辛さ、香り、味の面で簡単にまとめました。
SHU値は唐辛子の辛さを指し示す数値で、高くなればなるほど「辛い」ことを示します。
たとえば1000SHUだと砂糖水で1000倍に溶かすと辛さを感じなくなることを指します。
日本でよく使われる鷹の爪唐辛子のSHU値はおよそ 40,000〜50,000 SHUです。
二荆条(にけいじょう)/二荆条(èr jīng tiáo:アル・ジン・ティアオ)

香りと色を出すための唐辛子で、四川料理の土台を作る存在です。
四川料理における主役の唐辛子と言っても過言ではないでしょう。
成都の陳麻婆豆腐本店をはじめ、多くの四川料理で使われています。
辛さ
約3,000〜8,000 SHU
鷹の爪と比べても辛さは穏やかで、辛味を主目的に使う唐辛子ではありません。
香り
非常に強く、加熱すると甘さを感じるような、コクのある濃い香りが出ます。
油との相性が良く、紅油(唐辛子油)や豆板醤の香りを作り上げている存在です。
味
味にもコクがあり、料理全体をまとめる力があります。
辛さが少なく、癖も強くないため単体で主張するというより、ベースとして使われる存在です。
乾燥唐辛子にはグルタミン酸などのアミノ酸が含まれており、一般的には50〜200mg/100g程度です。
子弹头(しだんとう)/子弹头(zǐ dàn tóu:ズー・ダン・トウ)
辛さ・香りともに中間的で、扱いやすいバランス型の唐辛子です。
火鍋や紅油の配合で使われます。
辛さ
約10,000〜30,000 SHUと、極端に辛くもなく、弱くもない中間的な位置です。
香り
中程度で、他の唐辛子と組み合わせやすい性質です。
果肉が一定量あるため、辛味だけでなくコクや旨味も補えます。
味
クセが少なく、料理のバランスを崩しにくいのが特徴。
小米辣(シャオミーラー)/小米辣(xiǎo mǐ là:シャオ・ミー・ラー)
小さくて辛い、使い勝手の良い万能タイプの唐辛子です。南方地域や四川で広く使われています。
辛さ
約30,000 〜 80,000 SHUと辛い唐辛子です。
小さくて辛く、南方地域や四川で広く使われています。
香り
やや青っぽいフレッシュな香りがあり、生や漬けた状態で使うと特徴が出やすいです。
味
辛さがしっかりしており、発酵や漬け込みと相性が良いです。旨味も中程度で、泡椒に使われることが多いのもこのためです。
朝天椒(ちょうてんしょう)/朝天椒(cháo tiān jiāo:チャオ・ティエン・ジャオ)
料理にしっかりした辛さを加えるための唐辛子です。
さまざまな中国の唐辛子製品に使われている品種でもあります。
細長いものだけでなく、ホオズキ型の丸い品種も含まれます。
日本でよく見かけるものは、中国だと朝天椒灯笼椒と呼ばれています。
辛さ
約50,000〜100,000 SHU
鷹の爪よりも辛い個体が多く、料理の辛さの芯を作ります。
辛いのが得意な人でも、スイスイ食べるにはつらいからさです。
香り
香ばしい香りで、バナナに似た甘い香りがします。
味
直線的でキレのある辛さが特徴です。
単体で使うよりも、他の唐辛子と組み合わせて使われることが多いです。
果肉が薄く、辛味成分の比率が高いため、旨味より刺激が前に出るタイプです。
满天星(まんてんせい)/满天星(mǎn tiān xīng:マン・ティエン・シン)
小粒で非常に辛い、辛味特化型の唐辛子です。四川や重慶の麻辣料理で使われます。
中華街でも袋売りされている唐辛子です。
辛さ
約80,000〜150,000 SHU
今回紹介する中でもトップクラスの辛さです。
香り
スパイシーで、山椒にも似た尖った香りがします。
味
刺すような強い辛さで、少量でも料理全体の印象を変えます。
旨味は低く、粒が小さく、種と皮の割合が高いため、コクよりも刺激が中心の唐辛子です。
辛くない種類を選びたい時は?
辛さを抑えたい場合は、香りや色を重視する唐辛子を選びましょう。
二荊条は辛さが控えめで、料理に香りやコクを加えるのに適しています。
一方で、朝天唐辛子や満天星、小米辣は辛味が強く出やすいため、辛さを抑えたい場合にはあまり向きません。
二荊条唐辛子、朝天唐辛子など中国唐辛子の育て方

中国唐辛子は種類ごとに特徴はありますが、基本的な育て方は共通しています。
いずれもナス科トウガラシ属の植物なので、ポイントを押さえれば家庭でも十分に育てることができます。
栽培環境
唐辛子は日光を好みます。
1日6時間以上の直射日光が当たる場所で育てると、実つきや品質が安定します。
気温は20〜30℃程度が適しており、寒さには弱いため、3月~5月の春以降に植えるのが基本です。
6~7月上旬でもギリギリ間に合います。
種子は中華街で買った朝天唐辛子は発芽しませんでしたが、通販で購入した二荆条唐辛子は80%の確率で発芽しました。
下記のリンクは同じものです。
発芽
気温は25℃〜30℃、一晩水につけると発芽が早まります。
常に土は湿らせるようにすると、1から2週間ほどで芽がでます。
割と根気がいるので、焦らないようにしてください。
水はたっぷり、十分湿らせるのがコツです。
土づくり
水はけのよい土が重要です。
- 市販の野菜用培養土
- 赤玉土(排水性を上げる)
- 腐葉土(保水・微生物)
このあたりを組み合わせると育てやすいでしょう。
肥料は、最初は窒素をある程度与えて成長を促し、実がつき始めたらカリウムを意識すると実の質が良くなります。
水やり
水は「乾いたらたっぷり」が基本。
常に湿った状態にすると根腐れの原因になります。
やや乾燥気味に管理した方が、辛味が強くなる傾向があります。
品種ごとの育て方の違い
大枠は同じですが、目的によって管理を少し変えると仕上がりが変わります。
二荊条
香り重視なので、水や肥料を控えめにしてストレスを軽く与えると風味が出やすいです。
逆に辛さを抑えたい時は水や肥料を多めに与えます。
朝天唐辛子・満天星
辛さ重視なので、乾燥気味に育てると刺激が強くなります。
交雑について
複数の唐辛子を同時に育てる場合、交雑(品種が混ざる)が起こる可能性があります。
対策としては、
- 3〜5m以上離す
- 防虫ネットを使う
などをして交雑を防ぎましょう。
中国唐辛子は危険?

中国食材に対して「危険ではないか」と不安に感じる人もいるでしょう。
着色
一部の低品質な乾燥唐辛子では、色をよく見せるために着色されているケースが報告されています。
日本だと2000年代初頭に着色された唐辛子が問題になりました。
ただし、現在は輸入規制や検査があるため、通常の流通品で大きな問題になることはほぼないでしょう。
実際2020年以降に唐辛子の着色が問題になったことはありません。
ネズミ
乾燥唐辛子の山にネズミが居る動画が問題になったことがありました。
問題の動画は2017年にインドで撮られたもので、中国は関係ありません。
安全性
輸入される唐辛子は検疫を通っており、主要な中国唐辛子で問題になった事例は現代において確認できませんでした。
心配であれば、日本の輸入代理店で買うと安心です。
中国の唐辛子の使い方とレシピ
中国唐辛子は、単に辛味を加えるだけでなく、料理の香りや色、油のコクを作るためにも使われます。
ご飯にかける
一番シンプルなのが、唐辛子を使った辣油です。
- 唐辛子(粉または刻み)
- 熱した油
- にんにく・塩・醤油など
を合わせるだけで、ご飯にかけられる調味料になります。
二荊条を使うと香りがよく、朝天椒を加えると辛さを調整できます。
火鍋

火鍋では複数の唐辛子を組み合わせて使います。
二荊条:香りと色
朝天唐辛子・満天星:辛さ
灯笼椒:油と色
このように役割を分ける比率を変えることで、単調な辛さではなく、奥行きのある味になります。
火鍋の詳しい作り方は、「【本物】本格四川の薬膳麻辣火鍋レシピ&スパイスなしで簡単なレシピ『重慶毛肚火鍋』も紹介!シメの麻辣湯も」を参考にしてください。
麻婆豆腐

本格的な麻婆豆腐では、唐辛子の選び方で味が大きく変わります。
- 二荊条(粉やペースト)、麻婆豆腐のベース。香りと色の主体
- 必要に応じて朝天椒は辛さ追加
このように使い分けると良いでしょう。
陳麻婆豆腐発祥の店では、二荊条を使っています。
より詳しいレシピは「【本物】陳麻婆豆腐の「ガチ」本格原典レシピと歴史を紹介!とろみなし、花椒と唐辛子の原始的な超簡単レシピも」を参考にしてください。
唐辛子の酢漬け
中国では、唐辛子を塩水や酢で漬けた「泡椒(パオジャオ)」もよく使われます。
- 生の唐辛子
- 塩水(2〜5%)
- にんにくや生姜
を使って発酵させると、酸味と辛味が合わさった独特の風味になります。
炒め物や魚料理、酸辣系の料理に使うと、味にキレが出ます。
まとめ
中国唐辛子は、単なる「辛い調味料」ではなく、
- 香り
- 辛さ
- 色
- コク
を生み出す重要な食材です。
育て方自体はシンプルですが、品種ごとの特徴を理解して使い分けることで、料理の完成度が大きく変わります。
家庭でも再現は可能なので、興味があれば実際に育てて使ってみるとよいでしょう。


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